血液をさらさらにする薬の違い
「ワルファリン」と「アスピリン」は共に、「血液をさらさらにする」効果があります。
「ワルファリン」は「抗凝固薬」で、「アスピリン」は「抗血小板薬」に分類されています。これらは作用も目的も全く異なるため、正しい使い分けが必要です。場合によっては両方の薬を併用することもあります。
心不全や不整脈により血液の流れが遅くなると滞った血液が凝固しやすくなります。この場合には「ワルファリン」など血液凝固を阻害する「抗凝固薬」を使います。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などで動脈硬化が進行すると、動脈で血栓ができやすくなります。この場合に、「アスピリン」などの血小板の凝集を抑制する「抗血小板薬」を使用します。
このように、「ワルファリン」のような「抗凝固薬」と「アスピリン」のような「抗血小板薬」はそれぞれ全く異なる目的で使う薬ですが、どちらも「血液をさらさらにする薬」と説明されることが多いため、同じような薬であるととらえている人が少なくありません。実際に服用している人の中でも、これらの区別がついていない場合があります。
しかし、この2つの薬の違いを認識していないと危険であるだけでなく、生活を不必要に不便にしてしまうことがあります。「抗凝固薬」の中には、ビタミンKと拮抗するため、納豆やブロッコリーなどビタミンKが豊富な食品を制限しなければならないものもありますが、同じ「抗凝固薬」でも最近開発された薬はこうした制限はなく、また「抗血小板薬」では食事は不要です。
「血液をさらさらにする薬」を処方された患者さんに対して、単に「血液をさらさらにする作用がある」と伝えるだけでなく、「抗凝固薬」と「抗血栓薬」の違いを正しく理解してもらえるように、医師や薬剤師による説明を行うことが必要です。