私たち人間が生きる為には酸素が必要不可欠です。空気から酸素を取り込み、体内で産生された二酸化炭素を大気中へと排出する必要があります。肺は、その仕組みに必要な換気機能とガス交換機能を担っているのです。肺は空気の通り道である気管・気管支・細気管支などと、肺胞というガス交換の場で構成されています。大気中から酸素の豊富な空気を肺胞に取り込み、肺胞内の空気を排出する運動が換気です。肺胞内では、空気中の酸素を血液中へと取り込み、血液中の二酸化炭素を空気中に排出しています。ここで、換気の経路である気管肢が細くなってしまったり、肺胞が硬くなってしまうと、肺機能は低下してしまいます。ですので、本検査を行う事でこういったガス交換機能や換気のしやすさを調べます。装置に繋がった管を咥え、鼻をつまんだ状態で息を吸ったり吐いたりします。その際、1回に吐ける空気の量や速さを測定していきます。この肺機能検査では、はじめの数回の普通の呼吸から安静時の換気の状態が、一番大きな呼吸から最大努力呼吸時の換気状態がそれぞれ分かるようになっています。私たちが一般的に「肺活量」と呼んでいるものは、後者の「努力肺活量(FVC)」の事を指しています。一番深く吸い込んでから目いっぱい息を吐き出した時に吐き出される息の量に相当します。このいわゆる肺活量の正常値は、性別や年齢・体格によって異なります。病気がなかった場合の正常肺活量を予測する数式から算出された正常予測値との比を取って補正する必要があります。測定したFVCがどの何%であるかは、「パーセント努力肺活量」といい、80%以上が基準値となっています。最大努力呼吸では、出来るだけ勢いよく息を吐き出してはじめの1秒肝に吐き出される息の量を測定します。その量を努力肺活量で割ると、気道の通りやすさの指標が算出されます。70%以上が基準値であるとされています。装置のモニターには、縦軸に吐き出す勢いが、横軸に吐き出した息の量を表した「フローボリューム曲線」というものが描かれます。そのパターンも、更に詳細な診断に役立てられます。本検査より正しい検査結果を得る為には、最大努力で出来るだけ息を大きく吸ったり吐いたり、また勢いよく吐き出したりする事が大切です。上手くいくまで、何度かやり直しが必要となることもあります。食事制限や特別な準備は必要ありません。