頭部MRI・脊椎MRI
磁場の中で水素原子というのは面白い性質を示します。水素原子が共鳴しやすい周波数の電磁波を与えると、水素原子は一旦そのエネルギーを吸収して、後で電磁波として放出するのです。放出した電磁波を様々な工夫をして分析をすると、水素原子の位置や化学的性状が分かり、水や軟部組織、脂肪などをコントラスト良く区別できる画像を作り出す事が可能です。この性質を利用したのがMRI検査です。地場を不均一にする金属等がない限り、撮影部位に制限なく任意の部位の画像を作成する事が可能です。他の検査に比べて撮影法の進歩が非常に早いというのも特徴的です。本検査の所要時間は、装置の中で数分間動かずにいれば終了になりますので、患者さんの負担は少ないと言えます。MRIで血管を中心に、鮮明に画像化する方法をMRA(MRAアンギオ)と言います。特に脳動脈のMRAは、通常の脳血管撮影とは異なってほぼリスクなしに脳血管の検査が行えるというのが1つメリットだと言えるでしょう。ですので、本検査は脳動脈瘤のスクリーニング検査としてもよく利用されています。さて、MRIがどのような検査かをご説明した所で、次に部位別で検査内容やその意義について触れていきたいと思います。今回は中でも、頭部・脊椎の検査に特化してみていきましょう。まずは頭部MRI。X線CTと違い、頭蓋骨の影響を受ける事なく脳の画像を作る事が出来ます。急性期(頭部外傷・脳内出血など)を除いて、頭部の病気はほとんどがMRIの適応となります。加えて、撮影法の進化で、これまではできなかった発症直後の脳梗塞も診断が可能となっています。続いて脊椎MRIですが、こちらも頭部MRI同様、骨の影響を受ける事なく脊椎・脊髄・神経の関係をはっきりと描出する事が可能です。椎間板ヘルニア等による神経圧迫の有無を診断する事が出来ます。現在では、脊髄内を観察できる唯一の検査方法となっています。